この論文においては、日本語の表現をその文法や語法や語彙の使われ方に注目し、日本語教育における読解のあり方を改めて考えなおすために、向田邦子の随筆を対象に、基礎的な調査を行った。
序章では、向田邦子の随筆を選んだ理由と、研究動機について述べた。
第1章では、「父の詫び状」を対象として、反復表現を手がかりにその展開方式を考察した。
第2章では、「潰れた鶴」を対象に、随筆における過去形の文章中のル形の使用状況と使用される理由、また表現効果について考えた。
第3章では、「手袋をさがす」を対象として、文体の特徴を調べた。
第4章では、随筆集五冊を対象に、向田の随筆が映像的だと評される理由について考察した。
第5章では、随筆集五冊を対象に、使われている語彙の特性について調べた。
台湾の学習者の視点に立って、さまざまなタイプの文章の読解教育に向き合うということの第一歩としたい。